ブクゑメモ

本読む苔の読書メモ。好きにやっちゃいましょうよ、好きに。

ウィリアム・モリス『アイスランドの旅』

紀行文偏愛ゑ。そのなかでもオールタイムベストがこのウィリアム・モリス『アイスランドの旅』。ウィリアム・モリス。そう、アーツ・&クラフツの、あのウィリアム・モリス。これは、アイスランドのサーガに魅せられたモリスさんの長年の夢・アイスランドサ…

ルイス・ノーダン『オール女子フットボールチーム』

※好きすぎてことこまかにストーリーを説明したい、邦訳これしかない作家だからもう居ても立っても居られないというわたしのクレイジーファンガール気質がダダ漏れているので前情報いらんという方は読まないでください。いらんと言う方にも読んでほしいけど、…

おひさしぶりです

ご無沙汰してます。ゑです。 中学に上がった息子がラップトップのメインユーザーになってわたしが触れる機会と時間が激減したところにコロナ、同時に二度の引越しして子犬飼い始めたりと色々ありましてですねえ。そんなこんなしてるうちにTwitterの過去の読…

ピョン・ヘヨン『ホール』

*作品の内容にガンガン触れてます。ご注意ください。 さて。新装開店第一弾はピョン・ヘヨン『ホール』です。これもやはりオススメにハズレなしの友人から。オレたちのピョン・ヘヨン! シャーリー・ジャクスン賞2017受賞の本作。泥沼にズブズブ足をとられ…

新装開店

おひさしぶりです。もうね、書かなさすぎて遠い過去の記憶みたいになってるんですよね。でも、読書は続けていて、読むたびにいろんなことアウトプットしたくなるのです。そこで、考えた。質より継続。これですよ。いままでは(これでも)あらすじとかネタバレ…

クォン・ヨソン『春の宵』

ブログ継続 決意新たに 年の暮れ そうこうしてるうちに年明けた 字余り ゑ 読んでくださるみなさま。ご無沙汰しておりました。しすぎでした。 2018年は、新しい生活リズムになかなか慣れず、ブログどころか読書もままならない一年でした。継続を諦めかけてい…

読了メモ・2017.11

2018年上半期もそろそろって時に、まだ去年の話してますわ。期せずして、ディストピア月間になった11月。 『末法展』図録 細見美術館 ディストピア偏愛(ゾンビアポカリプス除く)。終末とか末法に目がない。ネットストア販売前に勇み足踏んで、美術館ショッ…

岸本佐知子編『変愛小説集 日本作家編』

葉桜の頃。暮らしのあたらしいリズム。起きて動いて寝て、また起きる。明日繰り返す今日。シンプルで難しいこと。 岸本佐知子さんの編訳偏愛。アンソロジーは「そう!これが読みたかった!」な短編ばかり。訳も編も、読むたびに岸本さんの引き出しの多さに驚…

スティーヴン・ミルハウザー『夜の姉妹団』

スティーヴン・ミルハウザーは、難しい!岸本佐知子さん訳『エドウィン・マルハウス』を読んでいる最中、何度も感じた。原文も訳文も、どちらかと言えばシンプルな文体。映像的で美しく、独特のリズムがある。だけど難しいんだよ、ミルハウザー。難しさは、…

読了メモ・2017.10

どんどんいくよぉ!今3月だからさ。まだまだ!…って書いたままになってて、そして4月… しっかりしろ!!読書メモと一緒に、当時のことを色々思い出した。 『ハワーズ・エンド』 E.M.フォースター 「英国風俗小説」というカテゴリーがあるそうだ。『ハワーズ…

読了メモ・2017.09

「ブログ記事をひとつ追加した」という小さな達成感を得るために書き始めた読了メモ。去年9月分から滞っているとは、どういうことだ。 『いずれは死ぬ身』 柴田元幸編訳 「淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の…

ボディにきた本2017

継続を迷っていた、この読書感想ブログ。素人の書評と受け止められると、意図してた方向性と違うんだな… 悩む。その間も読書というインプットは続いて、読むたびにああでもないこうでもないと色々こね回す。でもね、そこに「書く」つまり形にするプロセスが…

消えていく点が、ひとつ

家父長の化身のような生き方をしてきた人が持病の発作を起こし、短期入院をした。退院は自宅でそのときを待つという意味らしく、帰宅してこう言った。「あとは好きなことだけをして、人生を全うする」と。口にはしなかったが内心は「いやいやいや、あのさ。…

そんなきもち

たまに自分で自分のブログを読んで、振り返る。基本的に「そのときに読んで感じたこと」を書いているので、後日読むと「あちゃー」ってところがたくさんある。まあ、恥ずかしい。ただ、「そこんとこ見直して今後に応用できればいいよねー」くらいに留めてお…

フランシス・ハーディング『嘘の木』*作品の内容にも触れています*

幼年期の終り Coming of Age は、隠されていた真実を手にする代わりに、何か大きなものを手放す、喪失の儀式だ。同時に「マジョリティ男性」的なテーマだと思う。主人公が持つことを許された立場という設定が前提にある。それでは、そもそも奪われる立場に生…

読了メモ・2017.8

とにかく書き続けることが大事。今更ながら、2ヶ月前のこと、載せるゾォ! 夏バテして胃腸をやられ、あまり食べられず。外出も極力控えていたので、読書ばかりしていた8月だった。 『ジェンダー論をつかむ』 千田有紀・中西祐子・青山薫 入門者にやさしい、…

語りかけてくれる声

難しい本を「難しい」と思う時、自分は筆者が想定している読者じゃないのかな、とちょっとせつない。「知識人」じゃないと得られないものがあるのなら、きっとわたしは生きてるうちはそこには届かないから。ションボリする。「それならば入門書を」と手を伸…

開店休業

さてさて、ここんとこ、更新もせずご無沙汰の弊ブログ。ここでわたしは、パワーワード「バタバタ」のカードを切る。バタバタしてんのよ。インプットとアウトプット、両方に十分な時間が取れないとなると、どうしても読む方の練習に傾く。で、書く方は後回し…

柴田元幸責任編集 MONKEY vol.12 『翻訳は嫌い?』

平積みされているのを横目に通り過ぎる、というのを、数日に渡って、何度か行う。そののち、買う。結局買うのに、どうしてすんなり買わないのか。それは必要な通過儀礼なのか。好きな連載(川上弘美さんと岸本佐知子さん)もあるし、どうせ買うんだし、なんだ…

岸本佐知子編訳 『変愛小説集 II』

「変」と「愛」。境い目のそのギリギリのところをついてくる短編集第二弾。テーマに沿って、「プロットはいらない、フォルムだけ」を実践するショートストーリーを集めてギュッと濃縮させる編の妙は、岸本佐知子さんの岸本佐知子さんたるところで、それが偏…

読了メモ・2017.7

どんどん暑くなってきて、どんどんつらくなってきて、たたみかけるように夏休みが!いつもよりさらに、読書の質が落ちてくるはず… 心してかからねば! 『穢れの町』 エドワード・ケアリー アイアマンガー三部作の第二部。トリロジーの「2」は、「1」と「3」…

読了メモ・2017.6

えっ?!もう折り返し地点きた?!と誰もが思う6月。偏愛している日本キリシタン史の復習・筋トレも再開。 『目の見えないアスリートの身体論』 伊藤亜沙 「ヒューマン・ストーリーとして感情レベルの共感」が狙いではない。「エントロピーの小さい空間で身…

読了メモ・2017.5

メンタルにくることばかりが起きた5月。反面、読書は充実していた。 『シチリアを征服したクマ王国の物語』 ブッツァーティ ブッツァーティの子供向け物語。クマがかわいい。「クマはクマとして」という寓意的なストーリーの中に、子供向け以上のなにかが。…

読了メモ・2017.4

4月。新年度と共に。気持ちだけはいつも前向きなんだけどなー。周りの予定にからめとられてだんだん失速していく、分かっているけどやはりストレス。とにかく、今年は色々と自分以外のことを優先する年だと実感。 『メルロ=ポンティ 哲学のはじまり/はじま…

リディア・デイヴィス『話の終わり』

またもや、岸本佐知子さんの訳にお世話になっております。『2017最もボディにきいた本』暫定1位。短編偏愛のわたしとしては、同じ作家の手によるものでも、ノヴェル(長編)を読むときちょっと躊躇する。長編のところどころに「薄く引きのばされた」印象を受け…

アリス・マンロー『イラクサ』

『2016年最もボディにきいた本』堂々の1位、アリス・マンロー『イラクサ』。打ち込まれるパンチの重さに頭が痺れて、めまいがした。途中で何度読む手を止めて、本を閉じたか。俺ァ燃え尽きそうだったんだよ、おやっさん… アリス・マンロー『イラクサ』は、九…

ヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』

数ページ読んでしっくりこなくて、1年くらい積んでいた。ただ、結果的に(そして非常にラッキーなことに)この作品に関してはそれが功を奏しましたね。こりゃ、1年前のわたしには「まだ」な本だ。いまなら、それがとてもよく分かります。 女性が「自分ひとりの…

読了メモ・2017.3

3月は体調が悪くて全然読めなかった。さらに春休みが加わり、読書時間の確保が難しかった。読むのはサッパリなのに、積ん読だけが増えた月。 『実験する小説たち』 木原善彦 著 Twitterで見かけて読んでみた。そういえば、わたしは文学専攻だったよな、と思…

読んだもの、いくつか

わたしはあまり日本の現代小説を読まない。いや、ここ10年以上読んでいなかった、が正しいな。理由は… 自分でもわからない。なんでだろうね? 諸事により、スッスッと読める本を手元に用意しておく必要ができた。バタバタと忙しくなるときにこそ、なぜか難解…

読了メモ・2017.2

毎月の記録。2月はかなり読んだ。偏愛にひた走る月だった。 Becoming Nicole: The Extraordinary Transformation of an Ordinary Family (未訳) by Amy Ellis Nut 米国メイン州に住むトランスジェンダー・ニコールが「ニコールになるまで」を丹念に追ったノ…