読了メモ・2017.1
毎月の記録。
『孤児の物語』I・II
キャサリン・M・ヴェランテ 著
井辻朱美 訳
井辻朱美訳のFT偏愛。物語の中に物語、その物語の中に物語… 入れ子構造の連続性。円環。語り終わった先に、新たな物語。途中、その入れ子構造を複雑にしすぎて、作者自身がそこに絡め取られてしまったかのようなところがあり、「おーい、戻ってこーい」な気持ちになった。読者も作者もテーセウスでありミノタウルスである、想像力の迷宮みたいな作品だった。
『罪と罰を読まない』
読まずに語る『罪と罰』。四人四様の想像力と表現力に掴まれて、とにかく笑う。でも最後には「ドスト」が語る、「江戸」と同時代の「サンクト」の「ラスコ」の話『罪と罰』を読みたくなる。いま誰かに本を薦めてくれと頼まれたら、迷わず薦めるのが、これ。
『バッド・フェミニスト』
ロクサーヌ・ゲイ 著
野中モモ 訳
原著読了から、邦訳を待ち望んでいた1冊。今後もコンテンポラリーフェミニズムのエッセイがもっと邦訳されるといいな。
『わたしは倒れて血を流す』
イェニー・ヤーゲルフェルト 著
北欧のティーンネイジャー、自由そうに見えて、自由だけど、悩みや苦しみは国境越えるよね。縛られて、解き放たれるまでの助走。