ブクゑメモ

本読む苔の読書メモ。好きにやっちゃいましょうよ、好きに。

2016-01-01から1年間の記事一覧

岸本佐知子編訳 『変愛小説集』

短編への偏愛は、いまもまだ。ここのところ、わたしの短編偏愛は、岸本佐知子さんに頼りきりだ。「変愛」というテーマも、岸本さんファンには事前期待値が上がるキーワード。ワクワクする。 変… というか愛情としてはかなりまっすぐでピュアなものを描いてる…

ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』

岸本佐知子さんの訳。それまで、わたしはミランダ・ジュライをよく知らなかった。作家名は何度も耳にした。でも、読者としてわたしは年齢的デモグラフィックには当てはまらないんだろうと勝手に決めつけていた。岸本さんは今年、わたしの短編偏愛モードをさ…

言い訳

ほんとはジョイス・キャロル・オーツ案件がまだ2〜3冊分あるんだけど、ジョイス・キャロル・オーツ祭りがすぎるかなと自粛している。ほとぼりが冷めた頃、書く。

こわいもの

こわい、こわい。こわいものだらけ。地震がこわい。雷がこわい。火事がこわい、おやじがこわい。待て… いや、おやじはこわくない。高いところがこわい。注射針がこわい、まんじゅうがこわい。薄皮でこしあんだと、なおこわい。ぎっくり腰がこわい。ゾンビア…

フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』

どこか遠くに運んでくれる物語がだいすきだった。ここではない、どこか遠くに。本を開きページをめくれば、わたしは物語の中へ吸い込まれていく。ここで聞こえる音も見える景色も消えて、どこか遠くに運ばれるのだ。もう戻ってこれないくらい、ここから遠け…

ジョイス・キャロル・オーツ『邪眼』

短編偏愛モードと呼ぶかジョイス・キャロル・オーツ偏愛モードと呼ぶべきか。擬音にしたら間違いなく「ガツガツ」になる。手が届くところに著作があればなんでも読みたい。これがオレの偏愛。Wikipediaによると数々の文学賞受賞歴と共に「ノーベル文学賞候補…

短編偏愛の日々その6<柴田元幸叢書 アメリカンマスターピース 古典篇>

短編偏愛モード、フェイズ・ワンも終盤か。短編を、数読むとなれば図書館利用が手っ取り早い。だが、図書館で借りた本は購入したそれとはまったく別物として扱わなければいけない。本を『手に取る』とその本を『読む』の間に、『積む』の介在が必要不可欠な…

短編偏愛の日々その5<岸本佐知子編訳 コドモノセカイ>

短編偏愛モード、絶賛継続中。なんでこんなに続くのか。この世は読むべき短編で溢れているからにほかならない。 『居心地の悪い部屋』に続き、岸本佐知子さん編訳の短編集2冊目。いつもならブログのために数編、特に印象に残ったものを選ぶのだが、今回はと…

短編偏愛の日々その4<AMERICAN WIVES 「描かれた女たち」>

短編偏愛モード絶賛継続中、やめられないとまらない。「カバ本」の近くにあったので、ちょっと斜め読みして軽い気持ちで借りてきたのがこのアンソロジー。ど真ん中をズギュンと射抜く、大当たりのすごい1冊だった。 異なる年代、異なる環境にある女性たちの…

短編偏愛の日々その3<岸本佐知子編訳『居心地の悪い部屋』>

短編偏愛モード絶賛継続中。もっと短編作家を、もっと短編作品を知りたい読みたいと思っても、狭めるのは得意でも広げるときがとても困る偏愛体質。いったいどこから手をつければいいのやら… そんなときはアンソロジーに頼る。アンソロジーは「誰かが選んで…

『そしてカバたちはタンクで茹で死に』

『幻のカバ本』こと『そしてカバたちはタンクで茹で死に』を読んだ。ウィリアム・バロウズとジャック・ケルアックの共作で、それぞれが順番に一章ずつ。1944年に起きたルシアン・カーによるデイビッド・カマラー殺害事件、いわゆるカー・カマラー事件が起き…

短編偏愛の日々その2 <ジョイス・キャロル・オーツ>

MONKEY vol.9で超短編を読んで興味を持ち、トライアル、くらいの軽い気持ちでダウンロードしておいたBig Mouth & Ugly Girl のKindle版サンプルを読んで衝撃を受けたのが、ジョイス・キャロル・オーツ。ななななんですか、このひとは?!サンプルは英語で読…

短編偏愛の日々その1 <グレイス・ペイリー>

MONKEY Vol.9 短篇小説のつくり方 短編集偏愛モード、絶賛展開中。どうしてもグレイス・ペイリーが読みたくなって買ったMONKEY vol.9がきっかけ。いや、グレイス・ペイリー再読がきっかけか。『海辺のカフカ』を最後に、翻訳を含めた村上春樹作品から距離を…

はるはあけぼの

息子が小学校に入学して5年目。変わらないことのひとつが国語の宿題、音読。これを黙って聞くのが、わたしの毎日のお務め。最近の課題は清少納言『枕草子』第一段から、春と夏。内心は「大人だからそんなんもう読んで知ってらあ」くらいに上の空で聞いていた…

徒然なるまま

親友から「いつも喋る通りに書いてみれば?」とアドバイスをもらったので、やってみる。 視覚・聴覚からの情報がどれもほぼ同位に入ってくるという厄介な状態も、この年になると逃げ場をいくつか作っておく工夫ができるようになった。最高の逃げ場は風呂場。…

ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』

「別の意味があったのだよ、どの夢にも幻にもありがちなように。それはいつでも寓意として、新たな解釈として、読み解かねば…」 「書物を読み解くように!?」 「一場の夢は一巻の書物なのだ、そして書物の多くは夢にほかならない」 上下巻合わせて、読了ま…

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』

母方の大叔父は、寡黙な人だった。 わたしが覚えている限り、会話と呼べるようなやりとりをしたことがあるのは、2回。 達筆な人で、それを活かして東京大学史料編纂所の資料保存技術部に勤務しているという噂(本人は一切口を開かないし母方の親戚は法螺話…

はじめに

読んだ本、見た映画のおぼえがき。好きにやっちゃいましょうよ、好きに。