2017-01-01から1年間の記事一覧
家父長の化身のような生き方をしてきた人が持病の発作を起こし、短期入院をした。退院は自宅でそのときを待つという意味らしく、帰宅してこう言った。「あとは好きなことだけをして、人生を全うする」と。口にはしなかったが内心は「いやいやいや、あのさ。…
たまに自分で自分のブログを読んで、振り返る。基本的に「そのときに読んで感じたこと」を書いているので、後日読むと「あちゃー」ってところがたくさんある。まあ、恥ずかしい。ただ、「そこんとこ見直して今後に応用できればいいよねー」くらいに留めてお…
幼年期の終り Coming of Age は、隠されていた真実を手にする代わりに、何か大きなものを手放す、喪失の儀式だ。同時に「マジョリティ男性」的なテーマだと思う。主人公が持つことを許された立場という設定が前提にある。それでは、そもそも奪われる立場に生…
とにかく書き続けることが大事。今更ながら、2ヶ月前のこと、載せるゾォ! 夏バテして胃腸をやられ、あまり食べられず。外出も極力控えていたので、読書ばかりしていた8月だった。 『ジェンダー論をつかむ』 千田有紀・中西祐子・青山薫 入門者にやさしい、…
難しい本を「難しい」と思う時、自分は筆者が想定している読者じゃないのかな、とちょっとせつない。「知識人」じゃないと得られないものがあるのなら、きっとわたしは生きてるうちはそこには届かないから。ションボリする。「それならば入門書を」と手を伸…
さてさて、ここんとこ、更新もせずご無沙汰の弊ブログ。ここでわたしは、パワーワード「バタバタ」のカードを切る。バタバタしてんのよ。インプットとアウトプット、両方に十分な時間が取れないとなると、どうしても読む方の練習に傾く。で、書く方は後回し…
平積みされているのを横目に通り過ぎる、というのを、数日に渡って、何度か行う。そののち、買う。結局買うのに、どうしてすんなり買わないのか。それは必要な通過儀礼なのか。好きな連載(川上弘美さんと岸本佐知子さん)もあるし、どうせ買うんだし、なんだ…
「変」と「愛」。境い目のそのギリギリのところをついてくる短編集第二弾。テーマに沿って、「プロットはいらない、フォルムだけ」を実践するショートストーリーを集めてギュッと濃縮させる編の妙は、岸本佐知子さんの岸本佐知子さんたるところで、それが偏…
どんどん暑くなってきて、どんどんつらくなってきて、たたみかけるように夏休みが!いつもよりさらに、読書の質が落ちてくるはず… 心してかからねば! 『穢れの町』 エドワード・ケアリー アイアマンガー三部作の第二部。トリロジーの「2」は、「1」と「3」…
えっ?!もう折り返し地点きた?!と誰もが思う6月。偏愛している日本キリシタン史の復習・筋トレも再開。 『目の見えないアスリートの身体論』 伊藤亜沙 「ヒューマン・ストーリーとして感情レベルの共感」が狙いではない。「エントロピーの小さい空間で身…
メンタルにくることばかりが起きた5月。反面、読書は充実していた。 『シチリアを征服したクマ王国の物語』 ブッツァーティ ブッツァーティの子供向け物語。クマがかわいい。「クマはクマとして」という寓意的なストーリーの中に、子供向け以上のなにかが。…
4月。新年度と共に。気持ちだけはいつも前向きなんだけどなー。周りの予定にからめとられてだんだん失速していく、分かっているけどやはりストレス。とにかく、今年は色々と自分以外のことを優先する年だと実感。 『メルロ=ポンティ 哲学のはじまり/はじま…
またもや、岸本佐知子さんの訳にお世話になっております。『2017最もボディにきいた本』暫定1位。短編偏愛のわたしとしては、同じ作家の手によるものでも、ノヴェル(長編)を読むときちょっと躊躇する。長編のところどころに「薄く引きのばされた」印象を受け…
『2016年最もボディにきいた本』堂々の1位、アリス・マンロー『イラクサ』。打ち込まれるパンチの重さに頭が痺れて、めまいがした。途中で何度読む手を止めて、本を閉じたか。俺ァ燃え尽きそうだったんだよ、おやっさん… アリス・マンロー『イラクサ』は、九…
数ページ読んでしっくりこなくて、1年くらい積んでいた。ただ、結果的に(そして非常にラッキーなことに)この作品に関してはそれが功を奏しましたね。こりゃ、1年前のわたしには「まだ」な本だ。いまなら、それがとてもよく分かります。 女性が「自分ひとりの…
3月は体調が悪くて全然読めなかった。さらに春休みが加わり、読書時間の確保が難しかった。読むのはサッパリなのに、積ん読だけが増えた月。 『実験する小説たち』 木原善彦 著 Twitterで見かけて読んでみた。そういえば、わたしは文学専攻だったよな、と思…
わたしはあまり日本の現代小説を読まない。いや、ここ10年以上読んでいなかった、が正しいな。理由は… 自分でもわからない。なんでだろうね? 諸事により、スッスッと読める本を手元に用意しておく必要ができた。バタバタと忙しくなるときにこそ、なぜか難解…
毎月の記録。2月はかなり読んだ。偏愛にひた走る月だった。 Becoming Nicole: The Extraordinary Transformation of an Ordinary Family (未訳) by Amy Ellis Nut 米国メイン州に住むトランスジェンダー・ニコールが「ニコールになるまで」を丹念に追ったノ…
毎月の記録。 『孤児の物語』I・II キャサリン・M・ヴェランテ 著 井辻朱美 訳 井辻朱美訳のFT偏愛。物語の中に物語、その物語の中に物語… 入れ子構造の連続性。円環。語り終わった先に、新たな物語。途中、その入れ子構造を複雑にしすぎて、作者自身がそこ…
年明けてた!こわい!絶賛下書き保存中状態のものがいくつかあるまま、年越し!こわい!って、年明けて早々ブログ更新していたことを忘れている!こわい!それよりなにより、このこわさが通常運転状態なのが、いちばんこわい! 考えがまとまらなかったりフリ…
読んで下さるひとがいるということだけで、すごい励みになります。いつもありがとうございます。今年も偏愛読書を続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。 さて。去年末にアリス・マンローで後頭部にガツンとヘビーなのを食らったのが抜けきらない…